社会科教師が教科書で触れてこなかった「日本文明」とは、世間ではどのように捉えられているのだろう。
とりあえずウィキキペディアを検索してみた。
① 日本文明とは、「日本列島あるいは日本人又は大和民族に固有の文明社会を想定する用語」とある。
また、「比較文明論」で対象は「近現代の日本社会や日本文化」としている。
この場合、近現代の日本文化を指して「日本文明」と呼ぶらしい。
② ハンチントンの文明衝突論
1998年、「文明の衝突」で、世界を8つの文明圏に分け、日本を単一の文明圏とみなした。紀元100年から400年にかけ、中華文明から独立して独自の文明を形成した、としている。
この場合は、弥生期から日本は独自の文明圏を形成したことになる。
③ さらに保守主義言論の立場から教科書をつくる会などで「日本文明社会を、縄文時代に起点を置き、一般的に考えられているよりも古く伝統的で独自なものである」とし、「その美風や他の文化に対する独自性を強調する」としている。
この場合は、縄文期から日本文明が独立したことになり、竹田恒泰氏の論に近い。
④ 竹田恒泰
日本から世界最古の磨製石器が出土。この磨製石器の出現こそが文化・文明の条件であるとして、「日本文明」が世界四大文明より先に現れたと主張している。ただし、このような条件付けには批判もある、とある。
まあ、おおよそ今読んでいる「不合格教科書」の記述内容を指している。そして、この条件付けには批判もある、としている。
私が竹田恒泰氏の文明論で、一番気になったのは、文明の条件としてあげる4つの要素なのだが、誰も指摘していないようだ。
ア)農耕の開始
イ)都市の形成
ウ)文字の使用
エ)広範囲な交易
竹田恒氏の日本文明の縄文時代起源説では、ア)、イ)、エ)は当てはまるだろうが、ウ)の文字の使用はどうなのだろう。この点はどう考えても、縄文時代に起源を置くことはできない。
竹田氏は、この点を不合格教科書の中で、どのように説明するのかを探りながら読み進めたい。